考察

サッカーの概念を用いて、あらゆる社会的事象を分析・認識しようとする試み

２３　  飯島は、何故神に近いのか（飯島研究第３巻）

古典力学では、ものの状態は客観的に定まっており、在る、か、無い、かだ。
中盤でボールを奪い合っているMFからみれば、マイボールか相手のボールかのいずかということになる。
しかし、量子力学では、事象を、波動関数に基づいて確率的に表現する。
しかも、そのような確率で表現された状態も、観測行為によって１００％の状態に実現（収束）する。何時、どのようにその状態が実現したのかについては不明だが、対象の状態は確率という量子力学の世界から観測行為によって古典物理学の状態に決定される、というのである。
この波動関数が表現する世界は、けっして素粒子の世界だけではない。
サッカーにおけるMFの状態を表現する枠組みとして、量子力学が極めて有効であることが最近のサッカー物理学会で提唱されている。そこで、これを応用したプレー研究を報告する。

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• 「見ていない月は存在しない

という表現で、量子力学の観測者効果を表現した教授がいた。
　他方で、日頃から１０番も、ミスをしたときなどに、

• 「見ていないボールは存在しない」

と口にしている。量子力学の世界観は１０番の人生論でもある。
　いや、１０番はどうでも良い。
今は、ボール支配を争っているMFの分析から、なぜ飯島が神と言われるか、これを証明しよう。

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例えば、中盤でAチームのMF飯島と、BチームのMF小野がボール支配を争っていることを考えよう。
この場合のボール支配の表現に古典力学を使えば、
• 飯島のボールか、小野のボール
のいずれか、ということになる。
しかし、量子力学的には、確率を持って表現されることになる。
• 飯島に７０％、小野に３０％
と言う具合になる。
そして、この確率をもってボール支配を表現することは、MFの皮膚感覚に近いものがある。
また、ハイゼンベルグの不確定性定理では位置と運動量を同時に観測することはできない。あちらを立てればこちらが立たない（両方たたないことも多いが、これは省略する。）、中盤では、ボールが何処にあるか、そしてどの方向にどの運動量で動いているかを同時に把握できるMFはほとんどいないのはこの物理学の法則のためでもある。だから、この点からも、量子力学はグラウンドでも正当な物理法則と言われている。
　特に、量子力学（観測者効果）の有効性を実証するのは、MFのパスの瞬間だ。ボール支配を競い合って、飯島の足がやっとの事でボールに届き、これを味方FWにパスしようとする場面を考えてみよう。 
それまで、７０％対３０％という確率を持ってしか表現できなかったボール支配が、なぜ飯島のボール支配となって確定（収束ともいう）したのか。
　それは、中盤の二人の格闘を眺めていたFWという観測者の位置と動きが、ボールの支配状態を決定づけたのである。飯島からのパスを予想して飯島がパスを出しやすい位置に、飯島と同じAチームのFWが移動したことによって、飯島のパス支配状態へと収束し、ここに量子力学でいう波動の収束が生まれたのである。
　このように、サッカーにおいて、量子力学は必須の学科であり、特にサッカー２級以上を目指すMFにとっては、シュレーディンガーの波動方程式に基づいて瞬時にボールの支配確率を算出し、観測者たるFWに俊敏な観測者行動を求めなければならないのだ。

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　なお、以上の分析の中では、７０％対３０％の確率で有利にボール支配をしている飯島が、観測者たるFWの行動によってそのボール支配を１００％まで確定することを仮装して分析を行った。
　しかし、飯島は、このようなFWに依存したボール支配の収束を否定する。
　彼は、FWに依存してボール支配を確定させるのは未熟だと確信している。
　飯島は、近くにいるFWを無視し、自らが観測者となってボール支配を確定し、フェイントを掛け、クロスを上げてゆくのである。
 

　ある存在が他者に依存せず自らを観測者として状態を確定させることの意味は、その存在があらゆる存在の起点であることを意味している。
　ここに至り、飯島の力学と哲学は、量子力学を超えた神の領域に踏み込んでいることが証明された。

(2011.12.11)