8 暇な4人の昼下がり

大綱小 1998年3月25日

赤羽は仕事が無いので、午後2時に家に帰るつもりだった。そして、大倉山駅に着くと、自然にドトールが目に入った。
中に入ると、藤田がいた。午後2時を少し回った頃で、藤田は仕事をした帰りだと盛んに言い訳をしていたが、赤羽も同じだった。そこで、手短に学童の会長の引継ぎの話を済ませ、コーヒーを飲んでいた。
すると、代表幹事のレイが手島コーチ夫婦と一緒に中に入ってきた。赤羽は
「これは奇遇ですね」
と声を掛けた。誰かが「そういえば今日大綱小学校で、校庭利用に関する調整委員会が有るのではないか」と言いだした。「昨日飯島庶務がメールで叫んでいたあれですか」と答えると、どうせ暇だから一緒に行こうということになった。藤田は、「展示会に行かなければ」と仕事の途中であることを強調して席を立ち、残った4人は大綱小学校に向かった。


小学校2階の会議室はすぐに分かった。既に数名の人が椅子に腰掛けていたが、4名ものバッカスの会員の参加は予定外で、テーブルが足りなくなるのは明らかだった。
手島コーチは、会議室に入るとすぐに
「そこの人退いて下さい、テーブルを増やしますので」
と言って、初めて参加した者とは思えぬ手際で、会議室の席数を増やすために動いた。他の人は、真昼の侵入者を驚きで見ていた。
会議が始まった。


バッカスの参列について、冒頭でPTA会長から話があり、続いて各参加団体の1年間を振り返る挨拶があり、その後本題の利用団体間の時間調整となった。手島コーチは、会議途中で、団体の種目について釈明権を行使した。登録団体は13で、10年くらい前のバトミントンクラブを最後に新規登録は無い、ということであった。
この会議の間、必至でメモを取っていたのはバッカスの3名のみだった。時間調整に関する議論はほとんどなく、すぐに調整結果をプリントした紙が配られ終わりとなった。調整をする前に既に根回しは終わっていた。校庭利用の団体は、4団体程度だった。そしてレイが、バッカスの挨拶を上品に行い閉会となった。
その間の雑談の中で、ソフトボールのチーム代表者が「男のチームは加入できないことになっている」と言ったので、赤羽は「運営委員会規則ではどうなっていますか」と聞き返すと「そんなもの知らない」という返事が返ってきた。思わず、大倉山方言「法的根拠は」に近い問答なりそうだったので、「何かルールのようなものは無いんですかね」と柔らかく話して会話を打ち切った。
 
PTA会長は、終始穏やかにバッカスと雑談をしていた。この雑談の最中「静かにして下さい」というお母さんの声に遮られなければ、もう少しでPTA会長をバッカスの会員に誘っていたはずだ。
会議が終わり、4名は指導員のところへ出かけ、これ迄の実績とご苦労に感謝し、併せ昨年は手続も知らず勝手に校庭を使用して迷惑を掛けたことを詫びた。結局、何も成果はなかった。


会議が終わり退席する際、もう一度部屋を見た。
2ヶ月前、乳飲み子を抱えた飯島が校庭利用を懇願するために学校に出かけたもの、会議への参加を許されず、廊下から教室に入居することも許されず、追い返された場所をふと振り返った。しかしそこは、春の日差しが眩しいほどで、飯島の受けた拷問の痕跡はどこにもなかった。
 
4人は、3月25日午後3時30分頃学校を後にして、再度ドトールに向かった。

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